遺言で寄付できる?失敗しないポイントは?

ご自身の財産を誰かの役に立ててもらいたい。あるいは自分と同じ思いを持った人たちを応援、支援したいと考えている人も多いと思います。自分の死後、自分自身の財産をそういった方々へ寄付することは可能なのでしょうか。

今回は遺言によって寄付をする場合をご紹介します。

目次

遺言を使って寄付をする

ご自身の財産を死後どのようにするかの意思を伝える遺言を使って、自由に寄付できます。

遺産を〇〇へ寄付してほしい

と遺言書に記載しておけば、相続人や遺言執行者が手続きをおこない、代わりに寄付をしてくれます。

ご自身が亡くなった後に無償で財産を譲ることを遺贈(遺言による贈与)と呼び、この遺贈によって寄付をおこなうこと遺贈寄付と呼びます。相続人以外の人や団体に遺言者が財産を渡すことが可能です。

遺言による寄付のメリット

遺言による寄付のメリットは2つあります。

  • 遺産の使い方を自分の意思で決めることができる
  • 相続税対策

遺産の使い方を自分の意思で決めることができる

まずは自分の財産を死後、自分の意思で誰に渡すかを決めることができることです。

自分の夢や意思を叶える研究をしている団体や病気になった際に献身してくれた病院に感謝の気持ちを込めて寄付するといったご自身の意思によって応援することが可能です。

遺産が人や研究、夢などに寄付で貢献するというのも選択肢の一つになるかと思います。

相続税対策

もう一つは相続税対策です。

国や地方公共団体、特定の公益法人に寄付した財産は、相続税の非課税財産となります。

そのため、遺言による寄付をおこなうと、相続税の負担を軽くできます。寄付をした分だけ相続税が少なくなる可能性があるということです。

遺言を使って寄付するときのポイント

遺言による寄付には、法律や税金の面で注意したいポイントがいくつかあります。

  • 遺留分に配慮
  • 遺言の仕方に注意
  • 遺言の内容が確実に実行されるようにする
  • 遺言の種類にも注意
  • 寄付先の選定

遺留分への配慮が必要

遺言による寄付について注意したいポイントの一つが遺留分です。

遺留分とは、配偶者・子供・父母・祖父母に認められた、遺産の最低限の取り分になります。

遺産はもともと遺言者の財産ですから、遺言者が自由に処分できるはずです。しかし、遺産は残されたご家族が生活していくために必要な財産でもあるのです。

家族が住んでいる父親名義の自宅を寄付するといった場合、奥様や子供は家を失う可能性が出てきます。遺留分があるのは残されたご家族が生活に困らないようにしているということもあるのです。

相続人の遺留分を侵害する遺言も作成可能です。しかし、遺留分を侵害する遺言による寄付をおこなうと、相続人から

遺留分があるので、遺産の内遺留分については返してほしい

と主張される可能性があります。こういった請求が来た場合には、寄付された方や団体は遺留分の額に応じて、金銭にて返さなければなりません。これでは寄付の意思が果たされないだけでなく、トラブルの原因にもなってしまいます。

そのため、遺言による寄付をおこなう場合には、遺留分に配慮した形をとることが重要となります。

遺言の仕方に注意

遺言による寄付には特定遺贈包括遺贈という方法があります。

特定遺贈・・・特定の物を指定しておこなう寄付(遺産のなかから現金100万円を寄付するなど)

包括遺贈・・・遺産の割合を指定しておこなう寄付(遺産の3分の1を寄付するなど)

特に包括遺贈をする場合には注意が必要です。遺産には現金などのプラスの財産の他に、借金といったマイナスの財産も含まれます。包括遺贈で寄付を受けた団体が遺産を確認してみたら借金の方が多く、最終的に相続放棄したということになってしまうと本来の意思とは違うものとなってしまいます。

また、この包括遺贈はたの相続人と同じ権利を取得するという意味で、寄付先が遺産分割協議に参加する場合もあります。その場合、他の相続人とトラブルになるケースもあるため、どちらの場合でも寄付先に負担がかからないように配慮する必要があります。

遺言の内容が確実に実行されるようにする

寄付が確実に実行されるように遺言執行者を指定しておくことが必要です。

遺言書が実行される時にはすでに亡くなっております。そのため、他の相続人が遺言の内容を無視して遺産を使い込んでしまう可能性もあり、寄付が実現しなくなってしまいます。そのような場合に備えて遺言を作成する段階から対策が必要となってきます。

そこで、遺言書に遺言執行者を指定します。

遺言執行者とは遺言内容を実現してくれる人のことです。

この遺言執行者は、相続人や家族だけでなく第三者を指定することも可能です。そのため、信頼できる方や法律の専門家(弁護士や行政書士)を指定し、確実に遺言内容が実現できる体制を整えましょう。

遺言の種類にも注意

遺言書を作成して、寄付する旨記載してもそもそも遺言書を発見してもらわなければ、実現は叶いません。そのため遺言書を作成する際にはその種類にも気をつけなければなりません。公正証書遺言であればリスクは軽減されますが、自筆証書遺言の場合には、法務局での保管制度を活用し、リスク回避をする必要があります。

公正証書遺言とは公証役場で作成する遺言のことです。

法律の専門家である公証人と相談しながら作成する遺言書で、作成にあたっては2名の証人も必要となるため、信用力の高い遺言書となります。遺言書の原本は公証役場に保管されるため、遺言書が発見されないというリスク回避にもなります。

自筆証書遺言とはご自身が自書する遺言のことです。

ご自身が自書した遺言書は原則ご自身で保管することとなるため、保管場所を誰かに伝えていない場合に見つけてもらえない可能性があります。

ただし、この自筆証書遺言も令和2年より自筆証書遺言保管制度が開始されたため、この制度を活用しリスクを回避することができます。

自筆証書遺言保管制度とは、法務局で遺言書を預かってもらえる制度です。

寄付先の選定

遺言による寄付をおこなう際には寄付先にも注意する必要があります。

特に節税対策としての寄付を検討されている場合は、寄付金控除の対象になる団体に寄付しなければ、所得税の税制優遇も受けられません。税理士などの専門家にもアドバイスを受けておこなうことがよいでしょう。

遺言による寄付をご検討しておりましたら当事務所へご相談を!

遺言による寄付は可能です。ただし、遺贈の種類やポイントに注意しなければ、思い通りの寄付にならなかったり、寄付先に負担がかかってしまう場合がございます。

理想通りの寄付に向けて、計画作りは重要です。遺言による寄付をご検討しておりましたら、相続遺言専門の当事務所へご相談下さい。

まだ具体的なことをかんがえているわけじゃないけど、、、

といった場合にもまずは一度ご相談ください。

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