よく使う遺言書

目次

遺言・遺言書とは

遺言とは、被相続人(亡くなった人のことをいいます)が生前に「自分の財産を、誰に、どれだけ残すのか」についての意思表示をするものです。

そして、それを書面に残したものが遺言書です。

遺言には大きな効力があり、法律的要件の整った遺言書さえあれば、遺産(亡くなった人の財産)は基本的に遺言書通りに分けることになります。そのため、スムーズに遺産相続が進むこととなり、遺産の分け方をめぐって相続人同士での争いも生じにくく、紛争の予防という観点からも非常に大きな効果を発することができます。

また遺言によって、法律で定められた法定相続人以外の人に財産をあげたり、寄付したりすることもできます。

遺言書の種類

遺言書には全部で7つの種類があります。その中でも一般的に利用されるのは2種類です。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言
  • 死亡危急時遺言
  • 難船時遺言
  • 伝染病隔離時遺言
  • 在船時遺言

この中でも一般的に使用されるのは自筆証書遺言・公正証書遺言の2種類です。

2つの遺言書の特徴や違い

2種類の特徴まとめ

 自筆証書遺言公正証書遺言
作成方法自分で記述公証人が記述
証人不要2人必要
家庭裁判所
の検認
必要(法務局に
預ける場合は不要)
不要        
保管方法自身で保管(法務局
での保管が可能)
原本は公証役場
費用0円(法務局
保管の場合3,900円)
財産額に応じて加算
メリット手軽に作成できる
費用がかからない
無効になりにくい
証拠能力が高い
デメリット無効になる可能性がある費用が高額

自筆公正証書遺言

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、遺言者本人が自書するものです。遺言の全文をすべて自分自身で書き、作成した日付を記載、署名・押印する作成方法です。

メリットデメリット
・遺言書を自分で書くため、大きな手間がかからない。
・手軽に始めることができる。
・費用を抑えることが可能。
・手軽に作成できるため、逆に偽造・変造が容易。
・形式の不備によって、遺言が無効になってしまう可能性がある。
・作成した遺言書をどのように保管しておくかの問題。
・家庭裁判所での検認手続が必要となる。
※自筆証書遺言保管制度を使う場合、検認手続きは不要となります。

家庭裁判所の検認手続きとは?

遺言書の保管者やこれを発見した相続人は、遺言書を家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません。

検認とは、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。相続人に対し遺言の存在を知らせるとともに、遺言書の形状や内容などを明確にします。

この検認はあくまでも、外形的に遺言書を確認するだけで、遺言内容の有効・無効を判断するものではありません。したがって「遺言内容の正当性」や「法律上の様式に沿って書かれているか」といった事項については判断しません。

自筆証書遺言は検認が必要となるため、相続人は遺言書を見つけても勝手に開封してはいけません。ただし、次に説明する遺言書保管制度を利用し、法務局に原本を保管してもらっている場合は、検認は不要となります。

遺言書保管制度

大半の方は自筆証書遺言を作成した場合、自宅で保管します。ただし、自宅で保管すると、遺言書の紛失や遺言書を発見してもらえないおそれなどの様々な問題がありました。

そこで、令和2年7月から、法務局が遺言書の原本を保管してくれる制度(遺言書保管制度)が設立されました。

これによって、自筆証書遺言のデメリットであった

  • 保管の問題
  • 検認手続きの問題

が無くなり、遺言書を作成しやすくなりました。

制度の利用には3,900円の手数料がかかります。

遺言書保管制度情報ページ(外部リンク)

手間や費用が高い公正証書遺言よりハードルの低い自筆証書遺言をとりあえず作ってみることをお勧めしております。

自筆証書遺言の書き方

公証人が作成してくれる公正証書遺言と違い、自分で記述しなければならない自筆証書遺言は法律に沿って書かれていないと無効になってしまう恐れがあります。

  • 遺言者本人が自筆で記述する。※代筆やパソコンは不可。
  • 日付は年月日まで記述する。あいまいな「〇月吉日」のような表現は無効となります。
  • 財産目録はパソコンを使っても構いません。
  • 署名をする。
  • 捺印をする。

遺留分に注意

基本的に遺言書において、自身の財産を誰に、どう分配するかは自由に決めることができます。そのため、相続人が最低限相続できる権利である「遺留分」を侵害する遺言書であっても、法的には有効です。しかし、侵害された相続人には「遺留分を相続する」権利がありますので、遺留分を請求できます。これは争いの火種になるため、遺言書を作る際には遺留分侵害には注意してください。

遺留分 兄弟姉妹以外の相続人が最低限の遺産を確保するための制度で、一定の割合で請求することができます。(民法1042条)

公正証書遺言

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、公証人によって遺言書を作成、保管してもらうかたちとなります。
公正証書として遺言を作成する方法で、公的機関である公証役場で手続きを取って作成されますので、確実で安心・安全な遺言形式と言えます。

メリットデメリット
・原本が公証役場で保管されているため偽造・破棄の心配がない。
・形式の不備で無効になることがない。
・家庭裁判所の検認の手続きが不要。
・証拠能力が高い。
・口述が可能。
・他の形式より割高な費用がかかってしまう。
・2名の証人が必要になってくる。

公正証書遺言を作成する場合の手数料は?

公証役場への手数料は、公正証書に記載する金額等でかわります。
手数料は契約の金額(遺言書の場合は遺産の評価額)、用紙の枚数(一枚250円)などをもとに算出されます。

目的の価格手数料
100万円以下5,000円
100万円を超え200万円以下7,000円
200万円を超え500万円以下11,000円
500万円を超え1000万円以下17,000円
1000万円を超え3000万円以下23,000円
3000万円を超え5000円万以下29,000円
5000万円を超え1億円以下43,000円
1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
3億円を超え10億円以下9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
10億円を超える場合24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額
※出張の場合は手数料が1.5倍になります。
※遺言書(遺産総額1億円以下の場合)、任意後見契約書を作成する場合は手数料11,000円が別途必要です。

実際には細かい計算も出てきますので、目安として参考にしてください。

おすすめはどちらの遺言形式なのか?

おすすめの遺言書は公正証書遺言です。費用がかかってしまいますが、信頼性が高いというメリットが大きいためです。

遺言の目的は残すことではなく、内容を実現することです

そのためには、無効になってトラブルが発生する可能性がある自筆証書遺言よりも内容を実現する可能性の高い安全性を第一に考えるべきだと思っております。

しかし、いきなり公証役場へ行く手間がかかったり、費用がかかってしまうのはハードルが高いのも事実です。

そのような時は、とりあえず自筆証書遺言を作ってみることをおすすめします。自筆証書遺言を作る際に、

  • 誰が相続人なのか?
  • 自身の財産をまとめてみる
  • 誰にどれくらいの財産をあげたいのか考えてみる

こういったことを整理することで、今までもやもやしていたことがはっきりすることができます。悩んでいるだけでは解決しませんので、一度動いてみることをおすすめしております。そのあとに本当に必要と感じたタイミングで公正証書遺言を作ることを検討すればよいのです。

遺言に関して何かお悩みがありましたら行政書士玉村事務所へご相談ください。

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