相続人の調査とは?戸籍の集め方
目次
相続人調査とは
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの全部の戸籍を取り寄せて、そこから法定相続人を調べることになります。結婚や引っ越しなどの契機によって戸籍を移動している方も多く、すべての戸籍を取り寄せるまでに数週間から長い場合1か月程度かかることもあります。
戸籍の種類について
戸籍には3種類ありますが、大きくまとめて戸籍と呼んでおります。また戸籍を取得する際に「謄本」と「抄本」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、「謄本=全部記載」「抄本=一部記載」となります。基本的に相続で戸籍を集める際は、謄本を使用します。ちなみに「戸籍の附票」は戸籍の1種類ではなく住民票のようなものです。住所がわかるためのものになります。
戸籍(全部・個人事項証明書) 450円 | 現在有効な情報が記載してあるもの |
除籍(全部・個人事項証明書) 750円 | 転籍などの原因により昔の情報しか記載がなくなったもの |
改製原戸籍 750円 | 法改正等により新しく作られた戸籍の前の(元となった)もの |
相続人調査は大変?
相続人調査においては戸籍謄本をしっかりと読み解くことが求められます。また、戸籍が遠方の場合、郵送等で手続きを行うため、非常に時間が掛かり面倒な作業を強いられることになります。
戸籍は1通では終わらない
人は生まれてくると最初に親の戸籍に入ります。つまり、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの全部の戸籍を遡るということは被相続人の親が筆頭者となっている戸籍謄本まで遡っていかなければなりません。
亡くなった方の最寄りの役所に行けば、すべての戸籍を取ることができるとは限りません。ひとつの本籍地で一生を終える方はごく僅かで、ほとんどの方の場合は本籍地を数回移しています。
最終的に集める戸籍謄本の数は人によりますが(本籍地を移した回数による)、3~5通程度が一般的です。転籍が多い方だと10通くらい集めなければならないこともあります。被相続人の転籍が多い場合は、かなり時間と手間がかかることを覚悟しなければなりません。なお、本籍地と住所地は異なりますので、住所の変更と本籍地の変更が同じとは限りません。
戸籍にはいくつか種類がある
戸籍の形式にはいくつか種類があります。古いものから
- 「明治19年式戸籍」
- 「明治31年式戸籍」
- 「大正4年式戸籍」
- 「昭和23年式現行戸籍」
- 「コンピュータ化された現行戸籍」
といったものに分けられており、それぞれ戸籍の記載内容と記載方法が違います。現行の戸籍のようにシンプルなものから古いものは手書きでみっちりと記載されているものまで、様々な形式があります。
古い戸籍は読みづらい
古い形式の戸籍は手書きの毛筆体で書かれています。そして記入者の書き方のクセも関わってくるため、見慣れない人が読むと何が書いてあるかわからない場合もあります。専門家や役所の人でも判読に苦労することがあります。
戸籍の種類を正確に理解しておくことが必要
戸籍謄本(現在戸籍) | 主に横書きのものでコンピューター化されたあとの戸籍をいいます。名前や性別、生年月日などの身分関係が記載された公文書です。 |
除籍謄本 | 転籍や死亡、婚姻などの原因により戸籍に載っている全ての人がいなくなった後の戸籍のことです。全ての人がいなくなった場合でも、その戸籍は除籍となり抹消されずに残ることとなります。 |
改製原戸籍 | 法改正等により新しく作られた戸籍の前の(元となった)戸籍のことをいいます。実務上で「はらこせき」と呼ぶ方もいます。 |
役所で戸籍謄本を取得する場合、「謄本」と「抄本」の2種から選ぶこととなります。相続人の調査の場合には必ず「謄本」を取得します。
戸籍謄本 (戸籍全部事項証明書) | 戸籍内に記載されているすべての内容=「戸籍に記載されている全員の情報」を写したもので、その戸籍に入っている配偶者や子どもまで全員が載ったものになります。 |
戸籍抄本 (個人事項証明書) | 戸籍謄本の一部を抜き出したもので、「戸籍に記載されている一部の人の情報」です。 |
戸籍謄本の取得方法
戸籍謄本類を取得するためには、本籍地のある市町村役場での手続きが必要です。
本籍地が遠方にある場合や、仕事などの都合で役所の窓口へ出向けないような場合には、郵送による申請も可能です。その際は手数料に加えて返信用の封筒に切手を貼って同封するなどの手続きが求められます。
戸籍謄本類を請求できるのは、原則としてその戸籍の構成員や直系親族の方に限られており、他の親戚などが代わりに取得する場合には、委任状が必要になります。
郵送で戸籍謄本を取り寄せる場合
本籍地が遠いため役所の窓口に直接出向けない場合などには、郵送による取得方法もあります。手数料や必要書類に不備がなければ、約1週間で返送してもらえます。
必要書類は、
- 取得したい本籍地の申請依頼書(各市区町村のホームページからダウンロードできます。)
- 請求者本人の確認書類の写し(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 被相続人が死亡していることを確認できる戸籍
- 切手を貼った返信用封筒
- 手数料分の定額小為替(1通450円)
- 代理人が請求する場合には、代理人本人の確認書類のコピー
- 委任状(代理人に取得を依頼する場合に必要です)
一般的には、全国どの市区町村役場でも提出する書類は同じですが、市区町村によっては取り扱いが若干異なる場合がありますので、事前によく確認しておきましょう。
どこの役所に行けばよいかわからない場合
古い戸籍謄本を追っていると、聞いたことがない市区町村にあたってしまい、どこの役所に申請していいかわからない場合がでてきます。
近年では人口の少ない市区町村が他と合併していることも多く、現在は存在しない市区町村名が戸籍謄本に書かれていて、どこの役所に対して申請をしていいかわからない状況になることもあります。また、町名などが名称変更していることで、現在の名前がわからない場合もあります。
そのような場合には、インターネットを活用して、戸籍謄本に記載されている市区町村名を検索してみましょう。それを参考にして、現在の役所を判明させることができます。
出生から死亡までの戸籍謄本の取得方法
出生から死亡までの連続した戸籍を集めるには、死亡時の戸籍を起点に出生までひとつずつ遡っていくのが最も効率の良い方法となります。
以下の順番に行っていきます。
- 死亡したときの戸籍謄本を取得
- 1の戸籍の中から一つ前の本籍地が記載されている箇所を見つける
※記載している部分が戸籍の形式によってバラバラです。手書きの場合、文字にクセもあり、見つけるのに苦労することも多いです。 - 見つけ出した一つ前の本籍地の戸籍謄本を取得
この手順を繰り返していき、最終的に生まれた時の戸籍にたどり着くことができます。
まとめ
相続人調査は根気のいる作業ですが、地道に辿っていけば専門家を頼らずとも自力で行うことはできます。ただし、本籍地が遠く、郵送での対応となってくると定額小為替を事前に準備したり、申請書の書式を調べてダウンロードしたりと何かと面倒です。特に、郵送+返送の時間がかかるため、1回の申請に1~2週間ほどかかってしまうことがネックになります。
また、調査の際に漏れがあると遺産分割協議などの相続手続きに影響が出ますし、古い戸籍を読むのは非常に骨が折れる作業となりますので、弁護士や行政書士など専門家に相談するのもお勧めです。
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