相続手続きは誰に相談すれば良い?5つの相談先ポイント解説

家族が亡くなると遺産分割協議、預貯金の払い戻し、相続登記、相続税の申告などの相続手続きを行わなければなりません。しかし、これらの手続きについて初めて関わる方も多く、相続手続きに慣れていない方にとっては、まず何から手をつけて良いかもわからず、途方に暮れてしまうことも多いでしょう。

そのような場合には、専門家に相続手続きを依頼することによって、負担を軽減することができます。相続手続きを依頼できる専門家には、弁護士、行政書士、司法書士など複数の士業が存在します。

今回は初めて相続をむかえる方に、5つの相談先の特徴や押さえておきたいポイントをご説明いたします。

目次

専門家に依頼するのはどんなとき?

まずはどういった場合に専門家に依頼するのが良いのでしょうか。

相続人同士にトラブルがある、または相続人のなかに不仲・疎遠な方がいる

遺産の分割方法をめぐって相続人同士で揉めてしまっている場合には、家族だからこそ感情の問題にもつながってしまい、話し合っていても解決に至らないケースが多いです。

また、相続人間で不仲な場合や疎遠でどこにいいるかわからないといった場合にも、本人たちで対応することは難しくなってきます。

このようなケースでは、当事者以外の専門家を間に入れることで、相続手続きを進めやすくなります。

平日や日中に十分な時間が取れない

相続が発生した場合には、市区町村役場での戸籍謄本取得、金融機関での預貯金の払い戻し、税務署での相続税の申告など、さまざまなところへおもむき、手続きが必要になります。
これらの手続きは、基本的には平日の日中しか窓口があいておらず、土日や祝日に手続きを進めることはできません。
会社などに勤めている方にとっては、平日の日中は勤務する必要があり、相続手続きのために時間を割くことが困難であることも多いでしょう。また、戸籍の収集などでは一度では完結できずに何度も足を運ぶことになる場合もございます。

このような場合には、専門家に相続手続きを依頼することによって、各種手続きを代行してもらうことができます。

自分でできるか不安

ほとんどの方にとって、相続手続きを行うことは初めての経験となります。「何から手をつけて良いかわからない」といった理由で当事務所にご相談にくるお客様も多いです。

ご自身で相続手続きを進めるのが不安である場合には、専門家に相談することをおすすめします。

相談先5つのメリット・デメリット

それでは次に、どういった場合に弁護士や行政書士といった各専門家へ、頼めばよいのかを主に5つの専門家・機関に分けて解説いたします。

  1. 弁護士
  2. 司法書士
  3. 行政書士
  4. 税理士
  5. 銀行・信託銀行

弁護士

弁護士はほぼすべての相続手続きをおこなうことができます。

ただし弁護士は直接相続手続きをおこなうことはあまりなく、弁護士に依頼するケースとしては、トラブルになりそう・裁判調停に発展しそうな相続手続き(特に相続人間で話し合う遺産分割協議)、紛争性が高い遺産分割協議といった場合です。このような場合には初めから弁護士に相談することをお勧めします。

相続トラブルなら弁護士

相続争いが生じているようなケースでは、弁護士以外の専門家が対応することができません。

しかしトラブルが発生しているということは、解決までに多大な労力がかかることがほとんどです。そういった事案を解決する弁護士に依頼するということは、その分費用としても高額になる傾向がございます。

メリットデメリット依頼したほうがよいケース
・ほぼすべての手続きが可能
・遺産分割調停・審判での提出書類の作成ができる
・トラブルが起こっている場合に対応できる唯一の専門家
・相続税の申告はできない
(税理士の登録をしている場合は可)
・費用が高額
・相手の態度が硬化する場合もある
・相続の手続きすべてにおいて不安がある
・初めから相続に関して争いがある場合

司法書士

司法書士は不動産など登記の専門家です。したがって、相続財産のなかに不動産があった場合には、名義の変更などを司法書士に依頼する必要があります。

不動産の名義変更は司法書士

しかし 相続手続きは不動産だけではなく、預金・株式・投資信託など多岐にわたります。司法書士によって違いますが、不動産登記のみをおこなっている司法書士もいれば、相続関連の手続きまでおこなっている司法書士など様々です。また、不動産登記の専門家ではありますが、不動産の実際の売買や賃貸といった実勢の専門家ではないので注意が必要です。

メリットデメリット依頼したほうがよいケース
・相続登記ができる
・不動産に関わる各種の相続手続き書面の作成が可能
・相続に関する争いの解決はできない
・相続税の申告はできない
・不動産の実勢に詳しいとは限らない
・不動産の相続登記をする場合
・遺産分割について相続人同士で争いがない場合

行政書士

行政書士は官公署に提出する書類や契約書などを作成する専門家です。その業務範囲は広く、それぞれ得意不得意があり、全ての行政書士が相続手続きに対応できるものではありません。したがって、専門で扱っている行政書士を探して依頼されることをおすすめします。当事務所も相続手続き専門に対応しております。

司法書士と同様に、行政書士も相続に関して争いのある事案については扱うことができません。
一方で、行政書士は、他の専門家に比べて費用がリーズナブルになっています。

メリットデメリット依頼したほうがよいケース
・遺産分割協議書や相続人調査といったスポットでの依頼も対応可能
・特定の相続人(依頼者)の利益のみを追求せず、
相続人同士の話し合いが円滑に進むように中立な立場でサポートできる
・相続に関する争いの解決はできない  
・相続税の申告はできない
・相続登記はできない     
・特にもめごとやトラブルがないので書類作成などをしてほしい場合

当事務所では宅建士の資格も持っている不動産売買の経験者が実務に沿ったアドバイスをいたします!

税理士

税理士は、税に関する専門家であり、相続に関しては主に相続税の申告業務を行います。そのため、手続きをおこなう場合には他の士業が携わっていることもあります。

まず相続税がかかるどうか確認の上、相続税の申告が必要な場合、税理士に依頼する流れとなります。

相続税の申告が必要なら税理士

メリットデメリット依頼したほうがよいケース
・相続税の申告
・税務相談による節税対策
・相続に関する争いの解決はできない
・手続きについては対応できない場合もある
・相続登記はできない     
・相続税の申告が必要になる場合
・生前に相続税対策をしたいという場合

銀行・信託銀行

銀行や信託銀行でも相続手続きサービスを提供しています。銀行員が相続手続きの代行をしてくれるというわけではなく、結局は他の専門家へ手続きを依頼するかたちとなります。そのため、他の専門家に直接依頼するよりも費用が高くなってしまいます。

メリットデメリット依頼したほうがよいケース
・相続財産の運用
・相続手続きの専門家の紹介してくれる
・手続きは他の士業に依頼するため、費用が割高
・相続財産を銀行で運用してほしい場合
・専門家を自分では見つけられないという場合

まとめ

今回は各専門家のメリット・デメリットについて紹介しました。

トラブルがあるときは弁護士しか対応できない、相続登記は司法書士に依頼するといった様々なケースが考えられます。

皆様なるべくなら争いに発展せず、円満に手続きをおこなっていきたいと思っているはずです。

また、「うちは財産なんて無いから相続は関係ないよ」とおっしゃる方も多いのですが、相続手続きは全てのご家族に関わってくるものです。特に役所へ提出する書類には期限があるものも多いため、知らないうちに期限が過ぎてしまっては、本来やりたかったことができなくなってしまう可能性もあるのです。

まず何をすればよいのかわからない

というのは、専門家に聞くチャンスととらえ、有効活用してください。

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